メーカーでの仕事【プロフィール②】
前回は、社会人として最初に勤めたメーカーに入って、自動車メーカー担当の営業として働き始めたところまでした。
正直に言って、非常に居心地の良い会社でした。
他部署からは「あんなに仕事のキツイ部署には行きたくない」と避けられるほどでしたが、9時始まりで18時定時でしたが、残業はほとんどありませんでしたし、先輩ともよく飲みに行きました。
会社が銀座8丁目のいわゆる「コリドー通り」になりましたので、飲みに行くところに不自由はしませんでした。笑
確かに、大学出たてのぺーぺーがいきなり6億円以上の売り上げを任される、というのは、傍から見れば責任重大、プレッシャー甚大のように思われるかもしれませんが、特にそんな事は意識することなく、日々の業務に邁進していた感じです。
私の扱っていた自動車エンジン用のタイミングベルトとは何なのか。
簡単に言ってしまうと、エンジンの回転に正確に合わせて、吸気バルブ/排気バルブを動かすための歯付きベルトです。
こういうヤツです。
なかなか使える素材がなくて、分かり難くてスミマセン。
さらに詳しく知りたい方は、コチラからどうぞ。
ウィキペディア「タイミングベルト」
基本的に自社メーカー1社に対して1人の営業担当が付きます。
そして、担当メーカーの企画/設計/研究実験の各部門からの情報収集、これらの部門と自社工場の技術部門との仲立ちを行い、新車開発におけるベルト採用の窓口となります。
また、採用されたベルトの量産までの過程でも担当メーカーの検査/生産技術の各部門と調整を行い、補修部品についてもいわゆるパーツセンターとの調整も行います。またそれに伴う物流管理も業務に入ります。
そして、購買部門との価格折衝も営業としての大きな仕事です。
スバル1社だけでも、先ほどチラッと書きましたが年間6億円を超える売り上げでした。
ちょっと話は脱線しますが、当時、スバルのレガシィやインプレッサに搭載されていた水平対向エンジンのうち、2000ccDOHC用のタイミングベルトは周長が1.8m以上あって、登場当時は世界で一番長い量産タイミングベルトでしたし、その後に出た水平対向6気筒エンジン用のものは2.4m近くあってその記録を更新したものでした。
恐らくこの記録はいまだに破られていないと思います。
そんな製品ですから、作るのも一苦労で、工場の自動化ラインでは型が大き過ぎて入らず、半自動ラインで人手がかかり、よく工場のライン担当の人から笑いながら嫌味を言われたものでした。笑
これがトヨタ向けだったらまず必要数を生産できなかったでしょう。スバルだから出来たとも言えます。
タイミングベルトは重要保安部品であり、エンジンが動く根幹に近いところで必要な部品ですので、まだ図面もおきていない、開発の構想段階から入り込んだものです。(メーカー側から相談を持ちかけられる感じですね)
その逆、生産車については、万が一不良品でも出ようものなら、すぐ飛んで行ってラインの中に入り込んで、不良品(とも思われるロットのもの)を正常品と引き換えて(ラインのすぐ横で!)、取って返してデポで全数検品、なんてこともありました。
担当営業とは言うものの、その業務は非常に多岐にわたり、そのため自動車メーカーの様々な部署の様々な人に会うことが出来ましたし、まず一般の人は入れない、見ることが出来ないこともいろいろ経験させてもらいました。
ニッタという会社は、さすがに100年以上続く老舗企業です。
その会社で社会の何たるか、組織の何たるか、企業の何たるか、ともかく社会人としての基礎を全て教わりました。
そして、お客さんも日本の根幹産業である自動車メーカーの最前線、最先端の人たちでした。
そうして、途中、先輩の転勤や部署替えでスバルを担当しながら、結局関東全てのメーカー(ホンダ/日産/いすゞ)も掛け持ちで担当しました。
メーカーそれぞれでカラーがちゃんとあって面白かったです。
一時期は自分の取扱額は20億円を超えたこともありますが、やはりそんなことはあまり意識せず、毎日あっちだこっちだと飛び回っていました。
そうして5年がたった頃、一つの転機がやってきます。
つづく 笑
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